アレルギー科とは

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当診療科は、主にアレルギー疾患の診察、検査、治療を行っています。そもそもアレルギーとは、人が本来持っている免疫と呼ばれる機能(体内に侵入していく異物を排除する働きがある)がうまく働かなることです。

例えば、体内に入っても無害とされる、食物や花粉などに対しても、体内の細胞が有害であると認識し、過剰に反応してしまうことで様々な症状が起きるようになります。具体的には、体内から、その抗原(アレルゲン:アレルギーの原因となる物質)を排除しようと、くしゃみ、鼻水、目やに、流涙、発疹などの症状が現れるようになります。これがアレルギー症状で、これらが見受けられる疾患には、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーなどがあります。

診察の結果、アレルギー疾患が疑われる場合、診断をつけるためのアレルギー検査が行われます。血液検査では、アレルギー体質であるかどうかを調べる非特異的IgE抗体検査もあれば、アレルゲンを特定させるための特異的IgE抗体検査もあります。後者では、少量の血液の採取で39種類のアレルゲンを調べることができる「Viewアレルギー39検査」というのもあります。このほか、皮膚に少量のアレルゲンを付着させるなどして、皮膚反応を調べることでアレルゲンの有無が判明する皮膚テスト(パッチテスト 等)などを行うことがあります。

主なアレルギー疾患

気管支喘息

気管支喘息

花粉症

花粉がアレルゲンとなって、様々なアレルギー症状が現れている状態が花粉症です。なかでも春先に花粉が飛散するスギやヒノキがよく知られていますが、イネ科の植物やブタクサ、ヨモギなど夏や秋の季節に花粉が飛散する植物で花粉症を引き起こすケースもあります。したがって、春の季節のみ起きるというわけではありません。ただし、どの花粉が原因であったとしても症状は飛散する時期のみに限定されます。

よく見受けられるのは、くしゃみ、鼻水・鼻づまり等のアレルギー性鼻炎のほか、目のかゆみ、流涙、目やに等のアレルギー性結膜炎でみられる症状です。さらに喉のかゆみ、痰が出ない咳、皮膚のかゆみなども現れます。このほか、鼻が詰まることで、集中力の低下や睡眠障害などがみられることもあります。

問診や視診によって診断されることも少なくないです。また原因花粉を特定させるために皮膚テスト、特異的IgE抗体検査を行なうこともあります。

治療をする場合ですが、原因花粉が判明しているのであれば、極力避けられる環境づくりをしていきます。例えば、洗濯や掃除をこまめに行い、外出時にマスクや眼鏡をしていくなど、花粉が入り込まない対策を講じていきます。

また症状を緩和させる対症療法としては、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリンの内服薬があり

ます。また、鼻づまりが強い場合はステロイド系の噴霧薬、眼症状には抗ヒスタミンやステロイド系の点眼薬を使用します。

アレルギー性鼻炎

鼻粘膜にアレルゲン(抗原:アレルギーとなる原因物質)が付着し、それを体外へ排出させようと過剰に反応し、それによって様々な症状が起きている状態がアレルギー性鼻炎です。主要な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり(鼻閉)です。

アレルゲンについては、ハウスダストやペットの毛、真菌(カビ)など季節に関係なく発症する通年性アレルギー性鼻炎があれば、花粉(スギ、ヒノキ、イネ、ヨモギ、ブタクサ 等)が原因で飛散時期に限定して発症する季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)もあります。なお通年性は、アトピー性皮膚炎や気管支喘息が併発しやすく、季節性はアレルギー性結膜炎が併発しやすいという特徴があります。

アレルギー性鼻炎が疑われる際に行われる検査としては、鼻汁好酸球検査を行ないます。その結果、好酸球の数が多ければ、アレルギーが原因ということになります。そのほか、血液検査でアレルゲンを調べる検査もしていきます。

治療に関してですが、まずは環境を整えることが大切です。ハウスダストやダニ、カビが原因となれば、家の中に存在するものなので、こまめに掃除をする、風通しをよくするなどした対策も必要です。花粉であれば、外出時に帽子、マスク、眼鏡を着用するなどして、できるだけ花粉をつきにくくします。さらに家に戻ってからは、衣服などに着いた花粉を払うなどしてアレルゲンが家に入り込まない対策もしていきます。

対症療法としては、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリンの内服薬を使い、鼻づまりが強ければ、ステロイド薬の噴霧薬が用いられます。

蕁麻疹

何の前触れもなく、皮膚の一部にかゆみが強いとされる円形や楕円形、あるいは地図状のような赤い膨疹がみられる状態を蕁麻疹といいます。ただこれらの皮膚症状というのは、数時間~24時間ほど経過すると跡形もなく消えていきます。

原因については、特定できるケースと原因が判明する場合があります。ちなみに蕁麻疹がみられる患者様の7割程度の方は原因不明の特発性蕁麻疹です。皮膚症状が現れては消えるのを繰り返しているのが6週間以内であれば急性蕁麻疹、6週間以上続いていると慢性蕁麻疹と診断されます。原因がはっきり特定している蕁麻疹は、アレルギー性(食物、薬剤 等)もあれば、物理性(引っ掻く、寒冷、温熱 等)、コリン性(入浴、運動等、発汗を促す刺激で引き起こされる)などによって発症することもあります。

原因が特定しているのであれば、それを除去する環境(アレルギーが原因であれば、アレルゲンを避ける 等)を整えます。また特性蕁麻疹の患者様については、抗ヒスタミン薬の内服薬を使用していきます。

食物アレルギーとは

本来であれば無害であるはずの特定の食物に対して、免疫システムが過剰反応してしまうことによって発症する様々なアレルギー症状がみられている状態を食物アレルギーといいます。

乳幼児によく起きやすいとされていますが、成人まで幅広い層で見受けられます。アレルゲンとなりやすい食品に関してですが、乳幼児期では、鶏卵、小麦、大豆製品、乳製品などがあります。ただこれらについては、成長していくことで耐性を獲得していくことで治まることもあります。また学童期~成人では、甲殻類(エビ・カニ 等)や魚介類、ナッツ類(ピーナッツ、クルミ 等)、そば、小麦、果物(キウイ、バナナ、モモ、リンゴ 等)などが原因となって発症することが多いです。なお学童期以降に発症する食物アレルギーに関しては、治りにくいという特徴があります。

主な症状ですが、大半は即時型とされ、アレルゲンとされる食物を摂取してから2時間以内に起きるようになります。皮膚症状としては、蕁麻疹をはじめ、発赤、かゆみ、腫れなどが現れます。また消化器症状として、嘔吐・吐き気、下痢、腹痛等がみられるほか、鼻水・鼻づまり、咳、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー等の呼吸音)などの呼吸器症状があります。気をつけなければならないのは、アナフィラキシー症状です。これは複数の臓器(呼吸器、循環器、皮膚、消化器 等)で同時に症状が起きるなどします。重症化すると、血圧低下、呼吸困難、意識障害などがみられ、生命にも影響を及ぼすことがあります。

診断にあたっては、まず問診を行います。医師が必要と判断すれば、検査を行ないます。内容としては、血液検査(特異的IgE抗体検査で原因食物を調べる)、皮膚テスト(ブリックテスト:皮膚に小さな傷をつけ、原因食物と疑われるアレルゲンを塗布し、その反応みる)があります。また食物除去試験(原因食物と疑われる食品を一定期間は除去する)、食物経口負荷試験(アレルゲンが疑われる食物を少量口にし、症状の有無等を観察する)を行うこともあります。

治療に関してですが、原因食物が判明していれば、まずそれを除去します。症状が出ている場合ですが

、皮膚症状(かゆみ 等)があれば抗ヒスタミン薬、咳や喘息症状があれば、気管拡張薬を吸入するということがあります。さらにアナフィラキシーの症状がみられる場合は、アドレナリンの筋肉注射(エピペン)を使用していきます。