睡眠時無呼吸症候群

放置が続くと合併症を招きやすい

SASは睡眠中に発症するので、患者様ご自身で気づきにくいという特徴があります。ただ、睡眠中の酸欠状態というのは、心臓や脳などの臓器に強い負荷をかけてしまいます。そのため、高血圧、脳血管障害（脳梗塞 等）、糖尿病、心筋梗塞等の心臓病といった病気の発症リスクも上昇させます。また呼吸が止まることで熟睡をするのが難しく、疲れが取れにくい、睡眠不足に陥るなどして、仕事中でも強い眠気がみられたり、居眠り運転をしそうになったりするようにもなります。大きな病気や事故につながらないためにも上記の症状に心当たりがあれば、一度当院をご受診ください。

検査について

患者様の訴えや症状などから、OSAS（閉塞性睡眠時無呼吸症候群）が疑われた患者様については、当院から簡易検査装置を貸し出します。これは、睡眠中の呼吸の状態や酸素飽和度（SpO2）などを測定します。検査時は同装置にあるセンサを指先や鼻の下に取り付ける等して眠りにつくだけです。その結果を確認し、詳細な検査が必要となれば、医療機関で1泊入院してのPSG（ポリソムノグラフィ）検査となります。同検査で睡眠中の呼吸状態やSpO2以外にも、眼球運動、心電図、筋電図、脳波の状態なども調べていきます。これによって、SAS発症の有無や重症度も判定していきます。

測定結果はAHI（無呼吸低呼吸指数）によって数値化され、AHIが5以上となればSASと診断されます。さらに5～15未満であれば軽症、15以上30未満は中等症、30以上の場合は重症と判定されます。

治療について

OSASの患者様で軽症と診断された場合は、オリジナルのマウスピースを作成し、眠る前に下顎を前方に固定する形で装着していく治療法となります。これによって、睡眠中の無呼吸状態を解消していきます。

またAHIの数値が20以上という患者様には、CPAP療法（持続陽圧呼吸法）が用いられます。この場合、陽圧の空気を送る装置を用い、鼻マスクを経由して体内へと送り込んでいきます。これによって気道の閉塞が避けられるほか、いびきも治まるようになります。ただCPAP療法は対症療法でしかないので、肥満の方は減量もしていくなど生活習慣の改善も必要です。

このほか、扁桃や口蓋垂が大きい場合は、手術によって閉塞を改善するという治療法が検討されます。